3. レバレッジポイント理論

レバレッジポイント(梃子の力点)理論とリンケージ(社会課題の相互連関)思考

SDGsが提示する3つめの付加価値は、様々な目標が相互に結びついていることです。SDGsの17目標、169ターゲットはバラバラのものではなく、どこか1つを実現しようとすると他の目標が達成しにくくなったり、あるいは2つ3つ同時のほうが実現しやすかったりという、いわば連立方程式のようなものです。

SDGsには目標を実現するための「梃子の力点(レバレッジポイント)」というものが存在します。これはSDGs採択よりずっと以前からの話ですが、国連世界食糧計画(WFP)は、途上国の村全体の状況を改善するために「学校給食プログラム」を実施しています。小学校で給食を提供することは、(1) 子どもを物理的に学校に連れてくる、(2) 子どもが食事をするので飢餓や栄養失調から救済される、(3) 学校にいれば勉強するかもしれない、(4) 給食の材料は近隣の農家から買うため地域経済が活性化する、というように、一気に様々な状況の改善につながるのです。

レバレッジポイントは例えば都市計画にも存在します。ソウル市を流れる清渓川(チョンゲチョン)の再開発は、(1) 環境の劇的改善、(2) 地域住民への交流の場の提供、(3) 観光客誘致の原動力、というかたちで経済のみならずSDGsが目指す持続的発展の基礎を形作りました。こうして考えればSDGsをビジネスが採り入れる上で、目標間の相互連関とレバレッジ・ポイントの観点ほど大切なものはありません。

SDGパートナーズでは、目標間の相互連関(リンケージ)に着目し、あるSDG目標を起点に他の目標が「ドミノ倒し」のように動いていくことを「SDGドミノ」と名付けました。企業・組織が自らの強みで変化を起こせるレバレッジポイントを見つけ出し、そこから起きる連鎖により、いっそう大きな社会的インパクトを創出することは、SDGsをビジネスが採り入れる上でも非常に有効であると考えています。