2. 演繹的イノベーション

演繹的イノベーションと論理的逆算思考

現在、社会課題解決のために考えられているイノベーションの多くは、その根本原因の解決ではなく、目の前にある状況をまず改善するためのいわゆる「対症療法」になってしまっている場合が多いのが実情です。例えば、貧困状況にある子どもを救うための子ども食堂は極めて大切な取り組みですが、子ども食堂をいくら作っても、貧困そのものをなくさなければ貧しい子どもは減りません。この問題を解決するためには、目の前の状況を改善すると同時に、根本的な貧困の発生を根絶する必要があります。

SDGパートナーズでは、積み上げ思考型のイノベーションを「帰納法的イノベーション」、それとは逆の、ありたい姿から逆算して考えるイノベーションを「演繹法的イノベーション」と呼んでいます。そして、SDGsを達成するのに圧倒的に必要なのは、後者の演繹法的イノベーションであり、いかにしてそこに帰納法的イノベーションを組み合わせていくか、が課題であると考えています。

演繹法的イノベーションを、すでに戦略的思考として採り入れる企業も出てきています。この思考はまた、「デザイン思考」という別の言葉で主流化しつつあり、人間の本質的なニーズや直感、感性、共感などを発想の源泉とし、そこから逆算してイノベーションを起こす方法論として認知されはじめています。デザイン思考をSDGsに応用してみると、これまで見えなかったアプローチが見いだせることがあります。